日本衛星ビジネス協会

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会長挨拶

日本衛星ビジネス協会は1985年に米国SSPI(Society of Satellite Professionals)の東京支部(Tokyo Chapter)として発足しました。この年は電気通信分野の規制緩和を受けて日本初の民間の衛星通信企業が誕生した年であります。その後1990年には、国内活動をより広範に、また人的交流の一層の多様化を指向して、現在の「日本衛星ビジネス協会」に改組されました。
協会には、衛星の設計・製造メーカー、利用する(通信および放送)事業者、コンサルタント、学者或いはメディア等、広く多様な分野から参加いただき、現在会員数は約70名となっております。

近年、欧米では衛星事業の再編が進み寡占化の様相を呈してきている中、映像伝送と移動体通信分野の成長が顕著となっております。日本でも同様の分野が成長しておりますが、これらに加え災害対策や安全保障などの「安心・安全」の分野においても衛星の役割が重要度を増しています。
衛星の高性能化と地球局の小型化、伝送技術の進歩による利用形態の多様化も継続し、たとえばA4サイズの小型アンテナによる衛星ブロードバンド通信、ケータイをほんの僅か大ぶりにした程度でクリアな音声通話を実現する衛星携帯端末、或いは携帯ゲーム機サイズの衛星テレビ受像機が次々に市場に投入されています。また、災害対応用のネットワーク構築が全国的に広まり、ハンドヘルド型の衛星携帯通信端末や可搬型・車載型を含む緊急利用目的の地球局の開発と配備が進みつつあります。

人工衛星スプートニク1号衛星が打ち上げられてから来年で半世紀が経過しますが、このわずか50年の間の衛星技術の進歩は目覚しいの一言では足りません。特に協会発足から現在までの20年余は、規制緩和等もあり技術面およびアプリケーション面ともに急速に進歩しており、そのペースは衰える兆しを示していません。

当協会はこの20余年の間、衛星ビジネスの発展を担う諸方面の方々の情報交換の場として活動を続けてきました。 具体的には、講演会や施設見学会の開催が活動の中心となっています。最近では衛星デジタル放送やリモートセンシング等、衛星ビジネスのシーズや新サービスについて専門家にご講演いただきました。施設見学会では、日本も参加する宇宙開発国際プロジェクトが建設している宇宙ステーション施設の製造過程を概観し、次期打ち上げ予定のJEM「きぼう」を見学する等、タイムリーな企画を実施しました。 会員には、国際競争が激化する中での日本の衛星ビジネスの奮闘ぶりを感じ取っていただけたことと思います。

当協会は将来の衛星技術および衛星ビジネスの発展を担うエキスパートの育成支援も重要な役割と認識しており、協会のイベントを通じて会員間はもちろん、学生との交流も積極的に進めています。また、学会等他の衛星関連組織・団体との交流機会を増やして一層の活動の充実と交流の拡大を図り、日本の衛星事業における情報共有の場、新たなコミュニケーション・チャネル開拓の場としての役割をこれまで以上に果たしていきたいと考えています。
当協会のホームページもリニューアルし、当協会にご興味をお持ちの皆様に私どもの活動を伝えやすくしました。皆様からもアプローチしやすいホームページとなっていれば幸いです。

皆様のご理解とご協力を賜り、当協会がますます発展できますよう一層のご支援をお願い申し上げます。 

以  上
会長 河内 正夫