日本衛星ビジネス協会

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ビジネス事例紹介

株式会社放送衛星システム(B-SAT)

2000年12月1日に開始したBSデジタル放送は2006年6月末で視聴可能世帯が1600万世帯を超えました。当社は、BSデジタル放送の受託放送事業者として放送衛星を調達し安定な衛星放送サービスを提供しているほか、デジタルアップリンク設備とその運用業務を委託放送事業者に提供しています。一方、1997年以来アナログ放送衛星の管制業務を担うなど、放送衛星とアップリンク設備の安定運用を通じてBS放送の普及と発展を支え続けています。

1.複数衛星管制

当社は東経110度静止軌道で5機の衛星を管制しています。5機の衛星は、NHK及びWOWOWが実施しているアナログ放送のためのBSAT−1衛星(1a及び1b)及びBS−3N衛星、そして、当社がデジタル受託放送を行っているBSAT−2衛星(2a及び2c)で構成されています。同一軌道で3機以上の衛星を複数衛星管制している例は、SES ASTRA(ルクセンブルク)やEUTELSAT(フランス)などしかありません。

2.BSAT−1a後継衛星に係わる予備免許の取得

総務省は、2004年6月9日の電波監理審議会の答申により、同日付けで当社にBSAT−1a後継衛星に係わる予備免許を交付することを発表しました。これにより、2000年に開始したデジタル放送に加え、2007年には、NHK及びWOWOWが実施しているアナログ放送*とBS第9チャンネルで開始するデジタル放送の受託放送事業を実施することになりました。
*:2007年に受託委託放送制度が適用されます。

3.BSAT−3a衛星の調達

上記の予備免許交付を受け、NHKの定めた透明、公開、内外無差別な衛星調達手続きを経て、当社は2005年5月18日にロッキードマーチン社とBSAT−3aの製作・打ち上げに関する契約を締結しました。BSAT−3aは、BS第1〜第15までの現行8チャンネルが同時送信可能な衛星で、設計寿命13年以上、静止衛星軌道上での引き取り日は2007年6月30日を予定しています。

4.君津管制センターに新局舎完成

当社では埼玉県川口市の「川口衛星管制センター」と千葉県君津市の「君津管制所」(バックアップ局)により衛星を管制しています。今回、君津管制所にBSAT−3a管制に対応するための局舎が完成し、2006年5月23日に竣工式が行われました。述べ床面積約440u、300kVAの自家発電設備を有しています。

5.アナログハイビジョン放送の終了とデジタル放送の開始

BS第9チャンネルで実施しているアナログハイビジョン放送は2007年11月30日で終了し、その後、12月1日からはデジタル放送が開始されることが2005年12月26日に総務省から発表されました。このデジタル放送の委託放送事業者3社(日本ビーエス放送株式会社、株式会社スターチャンネル、ワールド・ハイビジョン・チャンネル株式会社)は2005年12月15日に総務省から認定されました。

6.デジタルアップリンク設備整備

上記の委託放送事業者3社からの依頼を受け、当社はBS第9チャンネル用デジタルアップリンク設備整備を開始しました。主局はNHK渋谷の放送センター、副局をNHK菖蒲・久喜ラジオ放送所敷地内に整備し、現行BSデジタル放送アップリンク設備との効率的な一体運用を行います。

7.21GHz放送衛星の研究

2000年から国のプロジェクトである「21GHz帯を用いた高度衛星放送システムに関する研究会」に参加しており、将来の衛星放送システムの構築に向けてNHKなどの機関と共同で研究を進めています。この研究の成果は、ITU−Rでも発表され、レポート(BO.2071)や勧告(BO.1659)の形で標準化に寄与しています。