B−SATは、1993年4月にBS放送に使用する放送衛星の調達と管制を行う目的で主にBS放送に係る関係者により設立されました。
現在、受託放送事業者の免許を受領して、5機の放送衛星(BSAT-1b、BSAT-2a、BSAT-2c、BSAT-3a及びBSAT-3b)を運用して、BSアナログ放送3番組、BSデジタル放送14番組(データ放送含む)を日本全国に向け送信しています。
また、地上デジタル放送の衛星利用による難視聴対策のためのBSによる再送信を行っています。
2011年は、7月にアナログ放送が終了し、新たなデジタルテレビ番組が加わって10月以降のBSデジタル放送は全部で31番組(データ放送含む)となる予定です。
BSAT-3bがアリアン5型ロケットにより2010年10 月29 日(現地時間28 日)、南米仏領ギアナ・クールーにある射場で打ち上げられました。これは8中継器が運用可能な衛星で、米国のロッキードマーチン社で製作され、打上げ後様々な性能確認を行った後、12月8日に引き取りました。現在は、東経110度の静止軌道上で運用しています。
更にBSAT-3c衛星が、2011年の第二四半期に打上げられる予定です。
管制設備は、埼玉県川口市の川口衛星管制センターと遠隔操作で運用する君津管制所に整備しています。これらの管制センターおよび管制所には、各々の放送衛星に向けた管制専用のアンテナが設置されています。管制設備を2箇所に設置しているのは非常災害や設備保守時のバックアップのためです。
ここでは、放送衛星が赤道上36,000Kmの所定位置から外れることがないよう軌道制御、衛星の放送用アンテナが安定して日本に向いているように姿勢制御および衛星から送られてくるテレメトリー信号を解析して衛星搭載機器を最良の状態に維持する状態監視・制御を24時間体制で行っています。B−SATでは独自の複数衛星管制システムにより5機の放送衛星を東経110度の同一軌道に配置して運用しています。
現在、BSAT-3c衛星の管制システムの建設や衛星打ち上げに向けた準備を進めており、2011年秋には、放送衛星3機の体制で新たな時代のBSデジタル放送が始まります。
B−SATのアップリンクセンターは、2000年のBSデジタル放送の開始の際、東京都渋谷区(NHK放送センター内)に建設されました。アップリンクセンターでは、委託放送事業者から光ケーブルを通して送られてくるデジタルの番組信号を監視し、衛星搭載の中継器毎に合成・多重して放送衛星に向けて送信しています。このための送信アンテナをNHK放送センター内に中継器毎に個別設置しています。また、降雨時や設備保守時のバックアップのため遠隔操作で運用できる予備の送信アンテナを埼玉県久喜市にも設置しています。
そして放送衛星から全国に向け放送される番組の状態を常時監視すると共にアップリンク機器全体の状態を24時間体制で監視しています。
このほかB−SATアップリンクセンターでは、各委託放送事業者(放送局)の電子番組表(EPG)をとりまとめて全放送局分の電子番組表を作成して各委託放送事業者へ送り返す処置を行っています。この全放送局分の電子番組表は、各委託放送事業者の送出装置で、番組信号に多重され、最終的に全BS受信機で受信し番組の切替や電子番組表として利用されます。
現在、BSデジタル放送開始時の機器をリニューアルし、2011年秋に開始される新たな番組送信のための設備整備を進めています。
2000年から2007年まで国のプロジェクトである「21GHz帯を用いた高度衛星放送システムに関する研究会」に参加し、将来の衛星放送システムの構築に向けてNHKなどの機関と共同で進めてきました。この研究成果は、ITU-Rでも発表され、レポート(BO.2071)や勧告(BO.1659)の形で標準化に寄与しています。
当社は、日本におけるBS放送のますますの発展に向けて、BS受託放送事業者の使命として信頼性の高い安定した放送衛星の確保に努め、皆様のご期待にお応えする所存です。