日本衛星ビジネス協会

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ビジネス事例紹介

KDDI株式会社の商用衛星事業への取組み

はじめに

KDDIは、2000年10月に旧DDI、旧KDD、旧IDOの三社合併により誕生し、翌2001年10月には旧auも合併して、固定通信、移動体通信、インターネットの全てのサービスを1社で提供する総合通信会社となりました。以来、最先端の通信ネットワークとサービス開発力、世界トップレベルの技術・研究開発力をベースに、来るべきユビキタスネット社会の実現を責務と認識し、積極的に取り組んできています。

衛星通信の動向

衛星の特徴である広域性、同報性は、ユビキタスネット社会の実現に重要な役割を担っています。
地上ネットワークのとどかない海・空あるいは離島などとの通信には、地上でのブロードバンドの普及する今でも衛星が欠かせない通信メディアとして、放送と並び利用されています。

インマルサットサービス

インマルサット第4世代衛星が2005年3月および11月に打ち上げられ、それぞれ同年5月と2006年1月からインド洋海域および大西洋海域での運用を開始しています。2008年8月に打ち上げられた3号衛星およびこれらの2機の衛星に対する軌道位置調整の後、2009年2月下旬には第4世代衛星のグローバル・カバレッジが実現され、インマルサット衛星によるブロードバンド利用にはずみがつくことが期待されます。
インマルサット第4世代衛星では、BGAN(Broadband Global Area Network)サービスおよびFB(Fleet Broadband)サービス、またハンドヘルド型端末で利用するiSatPhoneが提供されています。

KDDIはBGANサービスの前身となるR-BGANを2005年12月から提供開始し、BGANサービスへの移行を完了させています。また、FBサービスは2007年11月に外国籍船向けに、2008年2月には日本籍船向けに提供を開始しました。さらに、2008年9月には、東京にKDDI独自のアクセスポイント(AP)を設置し、固定IPアドレス割当てやEnd-Endでの帯域保証機能などが拡充されました。

BGANおよびFBサービスでは、最大492kbps(ベストエフォート)のデータ通信と電話サービスが同時にご利用いただけます。高速IPパケット通信によって陸上のイントラネットへのアクセスや各種アプリケーションの利用が可能となるため、船舶や僻地拠点等であっても高度な通信環境を構築する事ができるようになります。
なお、1982年以来、海事衛星通信の主要サービスとして活用されていたインマルサットAサービスは、2007年12月をもって終了いたしました。

南大東島の携帯バックボーンエントランス

世界の衛星通信事業の牽引役の一つは携帯バックボーンネットワーク需要です。地上網の整備が遅れている国・地域では、携帯通信サービスが先行して普及する傾向があり、内陸部や離島などへの携帯ネットワークの拡張に衛星回線が多数活用されています。

KDDIグループの沖縄セルラーは、同社サービスの普及が進む南大東島における基地局の拡充のため、衛星回線の追加および携帯基地局のエントランス施設としての地球局を新設し、急増する需要に対応する体制を整えました。

【南大東島の携帯基地局エントランス用地球局】
【南大東島の携帯基地局エントランス用地球局】

KDDIのその他の取組み

固定衛星通信の最大事業者であるインテルサットの発足からその民営化までの間、KDDIは日本の署名当事者として国際衛星通信サービスの提供と地球局の運用に携わってきました。国際電話や国際イントラネット系サービス(イーサネット・IP-VPN等)では、新興国・地域への大容量通信需要に伸びが見られ、衛星の重要性は固定通信の分野でも継続しています。
KDDIは、山口衛星通信センターにおいてインテルサット衛星向けの地球局の更改新設を進め、衛星回線を安定的に提供する体制を維持・整備しています。

【山口第7施設の建設工事】
【山口第7施設の建設工事】

このように、衛星通信サービスは、船舶内での、あるいは携帯端末を通じたブロードバンドサービスの提供を可能とし、豊かなコミュニケーションの実現に役立っており、KDDIは、その歴史を通じて培った経験と市場基盤を基に、衛星通信事業への積極的な姿勢を継続発展する取組みを続けています。